建設・建築のDXは何から始めるべきか?現場に合わない原因と進め方の考え方
建設・建築のDXに取り組もうとしたものの、「何から手をつければいいのか分からない」「システムを入れても現場で使われない」と感じたことはないでしょうか。
DXの必要性は理解していても、進め方そのものに迷いが生じる——これは決して珍しい状況ではありません。

本記事では、建設・建築業界のDXがなぜ難しく感じられやすいのかを整理したうえで、ツール導入の前に立ち止まって考えておきたい進め方の視点を、現場の実態に即してまとめます。
建設・建築のDXが「難しい」と感じられる理由
建設・建築業界では、DXが必要だという認識自体は、すでに多くの現場で共有されています。
それでも「どこから始めればいいのか分からない」「思ったように進まない」と感じやすいのは、業界特有の構造に理由があります。
多重下請け構造、現場ごとに異なる業務フロー、紙やExcelを前提とした運用、属人化した判断。
これらは一見すると非効率に見えますが、実際には現場で仕事を回すために最適化されてきた結果でもあります。
外部から用意された仕組みを、そのまま当てはめても馴染まない。
このギャップこそが、DXを難しく感じさせる大きな要因です。
ツールを入れても現場に合わないのはなぜか

建設・建築のDXでよく聞かれるのが、「良さそうなシステムを入れたが、結局使われなかった」という声です。
その背景には、「業務は標準化できるはずだ」という前提と、現場の実態とのズレがあります。
業務フローは現場ごとに違うという前提
同じ建設・建築業界であっても、会社の規模、地域、職種構成、文化によって、業務の進め方や判断基準は大きく異なります。
一社として同じ現場はありません。
非効率に見える運用が残ってきた理由
紙や口頭、属人的な判断が残っているのは、単にDXが遅れているからではありません。
現場で安全に、確実に仕事を回すために、その形が選ばれてきた背景があります。
この前提を無視して仕組みを設計すると、現場とのズレが生じてしまいます。
建設・建築のDXに「正解のシステム」が存在しない理由
建設・建築のDXでは、「これを入れれば解決する」という正解のシステムは存在しません。
それは、業務の実態や価値の生まれ方が、企業ごと・現場ごとに異なるからです。
DXを進める際に重要なのは、業界を単なるレガシー領域として捉えるのではなく、
価値が生まれ続けている“リアル産業”の最前線として捉える視点です。
現場で積み重ねられてきた判断や工夫には理由があり、それ自体が価値の源泉になっています。
DXはどこから始めるべきか|まず整理すべきこと
建設・建築のDXは、いきなりシステムを作ることから始めるものではありません。
まず必要なのは、現状を整理し、言葉にすることです。

「誰が・いつ・何に困っているのか」を言語化する
どの立場の人が、どの場面で、何に困っているのか。
この整理ができていないままでは、仕組みを作っても使われる前提が見えてきません。
As-Is / To-Beを分けて考える
現状(As-Is)と、どうなれば少し楽になるのか(To-Be)を分けて言語化する。
このプロセスを経て初めて、要件定義や設計が意味を持つようになります。
現場と一緒に進めるDXという考え方
DXは、外部に任せきりにして進めるものではありません。
現場に入らずに設計された仕組みは、どうしても現実とのズレが生じます。
だからこそ、DXは現場最前線に立つ当事者の一人としてプロジェクトに参加するという姿勢が重要になります。
現場を見て、話を聞き、その場で考える。
DXを「外注」ではなく、「一緒につくるプロセス」として捉える考え方です。
変化を前提にした進め方が求められる理由
建設・建築の現場では、計画通りに進まないことが日常的に起こります。
工程、人の配置、天候、取引先の状況——現場フローは常に変化しています。

その前提に立つと、仕様変更は例外ではなく必然です。
変化し続ける現場フローに適応し、現場とデジタルの距離を埋めるための手段として、アジャイル的な進め方が現実的になります。
建設・建築のDXは「導入」ではなく「楽になる実感」
DXの目的は、システムを導入することではありません。
現場が少し楽になり、判断しやすくなり、仕事が回りやすくなること。
その実感が積み重なった結果として、DXが進んでいく状態が理想です。
こんな段階の方は、まず立ち止まって整理したい
- DXが必要なのは分かっているが、何から始めればいいか分からない
- パッケージ導入を検討したが、現場に合わないと感じた
- システムの前に、業務や課題を言語化したい
こうした段階であれば、いきなり作るよりも、まず整理することが有効です。
整理から始めるDXという選択肢
建設・建築のDXでは、「何を作るか」よりも先に、
「何に困っているのか」「何を大切にしたいのか」を整理することが、結果的に遠回りになりません。
DXを万能な解決策と捉えず、現場と同じ目線で、最適な形を一緒に考えていく。
そうしたスタンスも、DXの一つの進め方です。
まずは、整理する対話から
建設・建築のDXは、
「何を作るか」「どのツールを入れるか」を決める前に、
今の業務や違和感を整理するところから始まります。
株式会社エルボーズは、
熊本・九州を拠点に、建設・建築をはじめとする実業の現場で、
DXやシステム開発に関わってきました。
私たちは、DXを「導入すること」ではなく、
現場が少し楽になり、判断しやすくなる状態をつくることだと考えています。
まだ課題が言語化できていなくても構いません。
システムの話をする前に、
今の状況を一緒に整理する対話から始めてみませんか。