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フルリモート企業を支えるプロジェクト管理ツール「TEAMKIT」|短期間での開発を実現した“ノーコード開発”

開発事例

「フルリモート✕フルフレックス」を軸にメンバーの90%以上がフリーランスで構成されている、デジタルプロダクト開発を支援するエルボーズ。プロダクト開発を一貫してサポートする『ATTEND biz(アテンドビズ)』を主力サービスとして掲げています。

そんなエルボーズでは、業務内容やスキル、単価、稼働時間が異なるフリーランスが適切にプロジェクトに参加できるよう、アサイン管理ツール「TEAMKIT(チームキット)」を開発。その背景にはプロジェクト単位のチームづくりと、属人性の高い管理体制からの脱却が目的にありました。

今回は代表取締役の小谷、ATTENDbiz事業責任者である取締役の永橋、そして開発を担当しているCTOの南が「TEAMKIT開発の裏側」を語ります。

プロジェクト単位のアサイン管理ツール「TEAMKIT」

―― アサイン管理ツール「TEAMKIT(チームキット)」が作られた背景について教えてください。

小谷:
エルボーズは、フリーランスがプロジェクト単位に分かれてチームを組む「分散型の組織作り」をベースに活動しています。プロジェクトごとに受発注やアサイン状況、単価などをメンバー全員が管理できるようにしたいと考え、制作したのがTEAMKITです。

これまでは、外部の契約管理ツールとスプレッドシートを使ってフリーランスの契約や請求などの事務的な情報を集約させていました。しかし、ツールで管理できるのはプロジェクト単位ではなく、作業ベース単位で……。

開発プロジェクトは基本的に複数人のメンバーが関わります。そのためエンジニアが数人いて、それぞれの案件・進捗管理や発注にかかる費用を作業ベースでまとめるとなると、アサインを管理するのがかなり大変になります。

作業ベース単位でしか管理ができない外部ツールでは限界があり、自社開発の管理ツール「TEAMKIT」のプロジェクトが発足しました。

「属人性の高いアサイン管理」からの脱却をねらう

―― TEAMKIT開発の前は具体的にどのような課題があったのでしょうか?

小谷:
分散型のチームを作るうえで、メンバーそれぞれに合うプロジェクトや、チームメンバーのスキルや稼働を把握することが必須です。

これまでは、マネジメント担当の永橋さんがメンバーの力が最大限に発揮できる環境やプロジェクトを把握して、アサイン管理をしていました。しかし、今のままでは属人的になってしまいます。

永橋:
そうですね。私が1人でプロジェクトメンバーのアサインを管理していました。開発案件ごとに、参加しているメンバーや空き状況がわかるスプレッドシートを作ったのですが、私以外の誰も管理できないものになってしまっていて……。

この運用方法だと属人性が高すぎることから、アサイン管理をシステムに落とし込みたい。そんな課題感から、TEAMKITのプロジェクトがスタートしました。

小谷:
フリーランスの稼働管理については、業界全体で大きな課題があると感じていて。

たとえば、フリーランスを紹介するエージェントのなかには「こういう案件があるのですが、稼働できますか?」のように、今でもメールでやり取りしている会社もあります。

稼働を確認する連絡手段が毎回メールだと手間が大きいし、すぐに稼働を把握できないとプロジェクトにも支障をきたすことがあって。

エルボーズでは手間を減らして稼働を管理しやすくするために「Slackbotを使って仕事の状況を答えると、TEAMKIT上に稼働状況が反映され管理できる」という形を目指すことになりました。

TEAMKIT開発のカギは「ノーコード」

―― TEAMKITの開発で意識したことを教えてください。

小谷:
TEAMKITの開発においてカギとなったのが、スピード感と柔軟性を意識した「ノーコード開発」と「スクラッチ開発」の併用です。

新規プロダクト開発でやりがちなのが「最初から完璧なものを目指して開発する」こと。しかし、それでは実際にできたシステムが使いづらい、機能の過不足が発生してしまうなどの問題があります。

そこで必要なのが、仮説検証をしながらプロダクト開発をしていくことです。まずはノーコードなどを活用して、機能を絞ったシステムを作る。実際に使って検証をし、“本当に必要な”機能や要件を洗い出してから本格的なシステムをつくる。

TEAMKITは、そんな新規プロダクトに効果的なプロダクト開発のプロセスを実践したプロジェクトでした。

―― なるほど。では、TEAMKITができるまでのプロセスを詳しく教えてください。

小谷:
TEAMKITではまず、チームのアサイン管理にフォーカスした機能を作ることになりました。仮説検証ができるように、ノーコードでデータベース管理ができるAirtable(エアーテーブル)とSlackbotを活用しました。Airtableにデータを入れ、Slackbotで稼働時間を更新できるようにする。

そんなふうに、スキルやアサイン状況を見られるシステムを、CTOの南さんに作ってもらいました。

南:
要件が変わることもあるので、早く作って仮説検証するためにもバックエンド部分はノーコード、フロント部分はスクラッチ開発で制作しました。

途中から業務委託の方にも手伝っていただきましたが、8割ほどは私1人でできるくらい、比較的時間もかからずに開発できました。また、仮説検証の中で出た意見を取り込みながら、柔軟に仕様の変更が可能です。

スピード感を持って検証するために選定したのが、ノーコードツールであるAirtable。スプレッドシートのような機能もあるし、自動的にAPIもできます。

▼Airtableで作ったデータベース

自由度高く開発ができるので、今回の開発であらためてノーコードの有用性を体感しました。

仮説検証を経て、アップデートを重ねていく。“本当に活用できるツール”へ

小谷:
アサイン管理以外の機能の必要性も議論し、まずは検証をするために、以下の機能を持つ「ノーコード版のTEAMKIT」ができました。

  • 支出・粗利・粗利率の管理
  • Slackbotを使った空き・稼働管理
  • クラウドサインのAPIを使った契約書管理

まず、TEAMKITのページで各メンバーの報酬額と、追加するだけで支出と粗利の管理や、粗利率が確認できるようになっています。そして、発注確定を押せば、クラウドサインから発注書が自動で発行されて本人に届くシステムです。

▼ノーコード版TEAMKIT

また、Slackbotでメンバーが稼働を報告すればTEAMKIT上に反映されます。稼働の可否を見る際は「相談可能」を選択している人だけを表示すると押せば、アサインできる人がTEAMKITに表示されるようになっています。

―― 登録しているメンバーの稼働状況や費用などが管理できるようになっているのですね。TEAMKITの開発によって、ほかにどんなメリットがあるのでしょうか?

永橋:
当社の月額制のアプリ・プロダクト開発サービス「ATTEND biz」にも良い影響があると感じています。

これまでは、30名以上のメンバーの稼働状況や案件との相性を私の頭の中で把握・管理していたのですが、最適なメンバーを的確にアサインするのも限界がありました。

アサイン管理、発注業務がノーコード版TEAMKITでデジタル化されたことによって「誰をどのプロジェクトにいくらでアサインしたのか、できるのか」が可視化され、業務がスムーズになりました。また、属人性も低くなったことも大きなポイントです。

―― ノーコード版での仮説検証はどのような結果になったのでしょうか?

小谷:
ノーコード版TEAMKITを実際に使い仮説検証をする中で、現状のシステムではまだ、プロジェクトの粗利率がわかりづらい、PMも稼働の割り振りができるようにするべきなどの課題が浮き彫りになりました。

そこで改めて必要な要件を定義し、ノーコードで作っていた部分もすべてスクラッチ開発で作り直し、完全版のTEAMKIT開発に乗り出したのです。

―― 新しいTEAMKITの、ノーコード版から変わった点は?

小谷:
主な機能はノーコード版のものを引き継いでいます。そのうえで、予算・粗利管理、アサイン管理のアップデート、そして個別のアカウント発行と権限管理ができるように改善しました。

▼完全版 TEAMKIT

たとえば、ノーコード版では活用しきれていなかった、アサイン管理のための稼働確認bot。TEAMKIT上で稼働が空いている人が表示されるようアップデートをし、より使う人が使いやすいUI・UXに改善しました。

エルボーズの強みをアップデートするTEAMKITの存在

永橋:
個別アカウントの発行と管理権限の設定ができるようになったため、PMもプロジェクトの予算が見られるようになったのは大きな変化です。

これまでは私を含めたマネジメントチームがアサイン管理をしていました。そのため、PMが予算の上限を把握しておらず、柔軟なメンバー追加ができない状況でした。

これからは、TEAMKIT上で案件ごとに売上と粗利率がわかるので、PMが裁量権を持って動ける“ジャストタイムアサイン”が可能になるかと思います。

▼TEAMKITアサイン画面

―― TEAMKIT開発において、課題や今後の展望はありますか?

永橋:
今後は過去の実績やメンバー同士の相性を加味して、プロジェクトごとにおすすめのメンバーが表示されるなど、よりプロジェクトに最適なチームが組成される機能も追加したいですね。

小谷:
また、TEAMKITにメンバー1人ひとりがログインできるようにして、以下のような機能を追加したいと考えています。

  • 一緒に働いている人がどんな人かがわかる
  • 新しく取得したスキルや参加しているプロジェクトなどが追加できる
  • 福利厚生が得られる

フリーランスが集まるエルボーズだからこそできるような、ネットワークとして活用していきたいですね。


多くのフリーランスがメンバーとして参加しているエルボーズでは、まったく新しいアサイン管理ツール「TEAMKIT」を活用し、効率的なプロジェクト管理を行なっています。

そんなTEAMKITの開発を成功に導いたのは「ノーコード開発での仮説検証だった」と語られました。この「最小限の機能で実装し、仮説検証をする」というプロセスこそが、新規プロダクト開発を成功させるカギなのではないでしょうか。

TEAMKIT、そしてエルボーズがどのような進化を遂げるのかーーぜひご期待ください!

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