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エルボーズ、製造現場のスマート保安を推進するモニタリングシステムのwebアプリ化をサポート

開発事例

「”誰と、どこで、何をするか”を、もっと自由に。」をミッションにかかげ、企業のデジタルプロダクト開発支援事業「ATTEND biz」の提供を行う株式会社エルボーズは、株式会社CASTが展開する高温部・狭所にも常時つけっぱなしが可能な配管減肉モニタリングシステムのwebアプリ化をサポートしました。

これにより、パソコンやタブレットなどモニタリングに利用する端末の自由度を向上し、保全現場だけでなく本社や別の事業所などからのリアルタイムモニタリングの活用に貢献します。

■開発の背景

従来、工場などに設置される配管減肉モニタリングシステムは保全現場内でのみ遠隔でモニタリングすることができ、本社や別の事業所からモニタリングを行うためには、危険な工場内に立ち入り専用のパソコンをセンサーと繋ぐ必要がありました。これらの危険な作業の必要性を極限まで削減するため、CASTからエルボーズにご相談をいただき、本モニタリングシステムのweb化を行いました。

■CASTの配管減肉モニタリングシステムとは

工場の現場では、工場老朽化や働き手の高齢化による検査員の不足など、監視不十分が原因の漏洩・爆発事故が年々増加しています。また、検査の現場は、高温・高所・狭所などの過酷な環境の中検査装置をもった人の手による半年~1年に1回程度の定期検査が主であり、常時かつ遠隔からのモニタリングを導入することで、事故防止及び検査の負担を低減し設備寿命伸長を実現することを可能にします。

CASTは、熊本大学の研究成果である「ゾルゲル複合体圧電デバイス」技術を活用した耐熱性とフレキシブル性を有する独自の薄型圧電センサーにより、「あらゆる場所にセンサーを」を理念に掲げ製造業の課題解決を目指す熊本大学認定ベンチャーです。CASTの超音波センサーを用いたあらゆる場所に取り付け可能な「つけっぱなし」配管減肉モニタリングシステムによりスマート保安を実現し、危険な場所で、センサーを手に持ち人が検査をして回るという製造業の苦役を解消します。

今回開発したウェブ化により、ネットワーク上に格納したデータをブラウザ上で表示できるようになりました。これにより、居場所・端末を問わずにデータを閲覧でき、製造現場の保全現場だけで確認されてきたデータを本社や別の事業所など部署を問わず、「いつでも・どこでも・誰でも」確認することが可能になりました。

  • 開発レポート

熊本大学発ベンチャーとして2019年に創業した株式会社CASTは、高温部・狭所・高所につけっぱなしにでき、工場内の配管をより安全に検査できる「配管減肉モニタリングシステム」を製造・開発しています。

今回、「配管減肉モニタリングシステム」のデータをネットワーク上に格納し、Webアプリケーションで管理・分析できるシステムをATTEND bizと共に開発。その背景には、どのような課題感があったのでしょうか。

株式会社CASTの取締役・深山蘭様、エンジニア・田中智季様、広報・小溝朱里様にWeb化の背景や、ATTEND bizとの開発過程について伺いました。


▼製造現場での安全な配管検査の実現に向けて、Webアプリ化の開発を開始

――ATTEND bizに開発を依頼した経緯を教えてください。

小溝:
2000年頃に当社のコア技術である独自の薄型センサーを開発し、その技術を活かせる場所を探していました。約20年の時を経て「あらゆる場所にセンサーを」をミッションに、熊本大学発ベンチャーとして2019年に創業しています。

田中:
創業後、当社は高温部・狭所・高所にも「つけっぱなし」にできる配管減肉(※1)モニタリングシステムを製造・開発しています。このシステムによって、人が危険な高温部・狭所・高所にある配管に近づき、直接減肉を検査する必要はなくなりました。

※1…減肉:高温・高圧の水流による摩耗や、化学的な腐食によって配管壁の厚みが薄くなる現象のこと。

しかし、センサー自体は高温部・狭所・高所に「つけっぱなし」にできますが、モニタリングをするためには、専用のシステムをインストールしたパソコンを工場内に持ち込み、配管の足元まで行き、センサーとつながなければいけません。

つまり、危険な工場内に人が立ち入る必要は残っていて、安全性が十分に確保できたとはまだ言えない状況でした。しかも、センサーとパソコンをつなぐ際のわずかな静電気は、引火や爆発を誘引するリスクがあります。

現在のお客様は主に、石油プラント企業や製薬企業など化学工場で製造を行う企業。化学工場では可燃性ガスが放出される可能性があるので、工場内で使用する機器は、引火や爆発を誘引しない対策をとった構成にする必要があります。

可燃性ガスが放出される環境で使える製品にブラッシュアップしていくために、まず会社の製品開発としては一定の規格認証の取得が必須でした。

また、モニタリング時の現場への立ち入りや作業の必要性を極限まで減らし、安全性を確保するために、データをインターネット上に格納し、ウェブアプリで閲覧できるようにすることも必要です。その一環としてWebアプリの開発をしたく、ATTEND bizさんにWebアプリの開発をお願いしました。

▼納品で終わりではない。ATTEND bizの伴走するチームのカタチ

――多くの開発会社がある中で、なぜATTEND bizを選ばれたのですか?

深山:
以前、別のソフトウェア開発もATTEND bizに依頼したことがありました。当時の社内には、ソフトウェアの仕様や開発に必要なエンジニアの数、予算などをどのように決め、どう進めるのかわかる人がいなかったのです。依頼する会社を比較検討するほどの知識もない状態でした。

そのような素人なので、ときにはエンジニアの方にとってかなり無理なお願いをしてしまうこともあったのですが、非常に柔軟に対応していただきとてもありがたかったという体験もあり、配管減肉モニタリングシステムの開発もATTEND bizさんが候補に上がりました。

田中:
現在は私がエンジニアとしてCASTの開発まわりを担当しています。ただ、サーバー管理からアプリケーションの開発までのすべてを、私一人のリソースで開発するのは難しそうでした。

また、私もモニタリングで得られたデータ周りに精通しているわけでないので、深山が言ったように柔軟にご相談ができて対応してくださるATTEND bizに依頼しました。

深山:
初めて代表の小谷さんとお会いしたとき「ただ作ったものを納めて離れるのではなく、エルボーズはエンジニアチームを一時的に貸し、委託いただいた企業にもノウハウが残るように一緒に考えていきます」とお話ししてくださったんです。その言葉に感銘を受けましたね。


ハードウェアデータをソフトウェアへ。ATTEND bizにとっての新たな挑戦

――開発過程では、ご期待に添える働きはできていたでしょうか?

田中:
アサインいただいたエンジニアの方が、実績を積まれている非常にスキルの高い方でした。何事も迅速に対応してくださいましたし、こちらの些細な困りごとや質問にもしっかり答えてくださいました。

今回、Webアプリ上からモニタリングセンサーに測定指示を送る処理があったのですが、通常のソフトウェア開発ではあまり使わない通信方式を使っていたんです。そのあたりの理解も早く、かなり助けていただきました。

――ATTEND bizにとってハードウェアとの通信はあまり実績がなかったので、逆にCASTさんに助けていただいた部分も多かったです。

田中:
モニタリングセンサーから送られてくるデータをWebアプリ上でビジュアル化する部分は、一般的なソフトウェア開発をされているエンジニアさんにとっては慣れない作業だったと思います。

途中で立ち行かなくなり増員が必要なタイミングがあったのですが、ほとんどタイムラグなくエンジニアさんをアサインいただけたのも良かったです。

――ハードウェアからのデータをWebアプリ上でビジュアル化するのは、ATTEND bizの中でもベテランのエンジニアが担当していたのですが、とても苦戦していました。

そのため全体のスケジュールに影響を出してしまったのは反省点です。今回をきっかけに、エルボーズ内でもきちんと対応できるよう考えていきたいと思いました。

田中:
既存のデスクトップアプリとWebアプリとでは、システムの言語から違いましたからね。

でも「どうしたら似たようなことができるか?」と、エンジニアさんと何度も意見交換させてもらいながら、最終的にはデスクトップアプリのような見た目にしていただけて、ありがたかったです。

配管減肉モニタリングシステムのモニタリング画面配管減肉モニタリングシステムのモニタリング画面

▼“お客様の求める製品”が完成したCASTと、ATTEND bizが歩む次の挑戦

――リリース後の反応はいかがですか?

田中:
展示会にも出展しましたが、配管減肉のモニタリング時の事故リスクを減らすよう製品開発を進めているなかで、その具体的な事例として非常にアピールしやすくなりましたね。副産物的として、データを無線でネットワーク上に格納できるおかげで、連携先を柔軟に変えられるようになりました。そのため「自社クラウドにデータを格納することは可能か?」といったご相談なども来ています。

――今後の展望をどのように考えていますか?

田中:
開発の観点では、Webアプリの画面をお客様がより使いやすい形にするのが次の課題です。またビジネスの観点では、お客様に受け入れてもらうことですね。

小溝:
最初にもお話ししたように、CASTは大学発ベンチャーとして出発し、ようやく研究結果を活かせる製品をお客様に届けられる状態になり、当社としては大きく前進することができたと思っています。田中が言うように、これからしっかりと製品を届けていきたいです。

――ATTEND biz開発チームへの率直な評価をお聞かせください。

田中:
こちらがソフトウェアのシステムのことをわかっていなくても作ってもらえたので、非常に助かりました。

深山:
社内リソースがなかったのですが、ATTEND bizに必要な人員を補っていただきました。おかげで、私たちが目指す配管減肉モニタリングシステムの実現までのスピードがぐんと早まったので、とても感謝しています。

――率直なご意見、ありがとうございました!

先ほども話題に挙げましたが、今回はハードウェアとソフトウェアの連携というATTEND bizにとってもチャレンジングな開発でした。

ご迷惑をおかけしてしまった部分もありましたが、振り返りもしっかりさせていただいたので、今回の開発で得た経験を今後に活かしていきたいと思います。こちらこそありがとうございました!

■株式会社エルボーズについて

エルボーズは、「”誰と、どこで、何をするか”を、もっと自由に。」をミッションに掲げ、働き方に関する課題解決を目指し、2017年に創業しました。多様な働き方や契約形態のメンバーが混ざり合うフレキシブルなチームの可能性を信じ、創業時からフルリモート×フルフレックスの働き方を導入。メンバーの90%以上がフリーランスとして働くチームの強みを活かし、新規事業立ち上げ支援「ATTEND biz」などの事業を展開しています。

ATTEND biz

ATTEND bizは、「明日から、あなたの開発チームに」をキャッチコピーとして掲げる、良いサービス・プロダクトづくりに欠かせない“持続的開発”を叶える月額制の開発サービスです。ATTEND bizが持つ全国3,000名以上のITクリエイターネットワークから、お客さまのビジネスや開発フェーズに最適なスキルや経験を持つメンバーでチームを編成し、プロジェクト立ち上げを成功に導きます。

https://attendbiz.jp/

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